今回は、今までのアーティストインタビューと趣向を変えて、ホストファミリーにお話をお聞きしました。北海道で、ホストファミリーとしてぬいぐるみのおもてなしをしている、はるさんです。ご自身も旅行がお好きだというはるさんは、国内外にぬいぐるみをアテンドしています。そんなはるさんに、ホストファミリーの魅力などをお聞きしてみました。

(2018.7 インタビュー・構成・編集 北山メル)

[インタビュー実施日]2018年7月
[場所]ネット上にて

協会

北海道標津町で、ぬいぐるみを預かるホストファミリーを引き受けてくださっているはるさん。乳牛とのツーショット、地平線が丸く見える「開陽台」、流氷など、大自然が感じられるホームステイは大人気。今回、どんなお話が聞けるのか、楽しみです。

◆はるさんはぬいぐるみ協会のホームステイ先のホストファミリーということですが、ぬいぐるみ協会のことはどのように知ったのですか?

はる

テレビ番組で、病気の女の子の代わりにぬいぐるみが世界を旅するという内容のコーナーがあったんです。
空港でこれから旅に出る人に声をかけ、ぬいぐるみを託して写真を撮ってもらっていたと思います。
私は旅行が好きなので、自分にできるボランティアがあるんじゃないか?と思ってインターネットを探していたところ、辿り着いたのがぬいぐるみ協会だったと記憶しています。

◆ぬいぐるみ協会の活動を知って、どう思われましたか?

はる

ホームページを見たときに、アットホームな雰囲気を感じました!
私でも、何かできるかもしれないと思えたのでメッセージを送ってみました。

◆旅がお好きとのお話でしたが、ぬいぐるみには思い入れがあるとか、何か特別な思いはあったのですか?

はる

ぬいぐるみの特別な思い入れは、正直いってそんなにありませんでした

◆あくまでも「旅が好き」ということと「自分にできるボランティア」ということが結びついたのですね。

はる

そうですね!

◆それまでボランティアをなさったことはあるのですか?

はる

ボランティアの経験はあまりないです。
やろうと思いながら仕事が忙しくて……というパターンが多くて。
だから、ちょっと言葉は悪いのですが「旅行がてら出来る!」というのが私にはピッタリでした。

協会

数年前に富良野で洪水が起きたとき、ずいぶん早い段階でボランティアに参加されていませんでしたか?
意識の高い方だなあと思った記憶があります。
ボランティアではありませんが、地元のイベントなどに行かれていろいろなものをみなさんに発信されたりして、いろんなことに関心がある方だなあという印象あります。

はる

ありがとうございます!
2年前に富良野で大雨被害があって、建物の泥出しやボランティアバスのスタッフなどやっていました。

◆ 素晴らしい活動をなさってきたのですね。

「旅」「ボランティア」というキーワードに、「ぬいぐるみ」が加わったわけですが、ぬいぐるみに対して新しい印象や思いなどは生まれましたか?

はる

ぬいぐるみと一緒に旅をするなかで、旅仲間・友達のような感覚を持つようになりました。
1人で海外に行くときなどは本当に『相棒』のような感覚で、心強く感じることもありました。
同じぬいぐるみを何度かお預かりして旅やホームステイを受け入れたこともあるのですが、久しぶりに友人と会うような感覚でうれしくなりました。

◆ホストファミリーとしての、初めての旅はどのようなものでしたか?

はる

ニュージーランドでした!
英語もそこまで話せないのに、自己手配で航空券を手配したり、現地の方のお宅に宿泊したり、しかもフルマラソンを走るという一人旅でした。
無謀な企画だったので旅行自体がドキドキしっ放しだったんです。
ぬいぐるみたちが居てくれたお陰で、本当に心強かったです!

協会

参加してくれたのは、北山さんのちゃいちーくんとクロエちゃんだったんですよ!


▲ニュージーランドツアーの様子
(ネコのちゃいちー君はインタビュワー北山の自作あみぐるみ、クロエちゃんはキットで作ったクマのぬいぐるみ)

◆あれが最初だったんですね!ご縁を感じます。

はる

そうでしたか!
ちゃいちーくんとクロエちゃんがいてくれたお陰で、本当に心強かったです!
もしツアーで参加していたら、写真を撮る時間が限られていたと思うので、1人旅で自由に写真が撮れるのは良かったなあと思います。

◆たくさんステキなお写真をいただいて、私も行った気分になりました。

旅の写真を収めたCD-ROMは、もちろん今でも大切にしています。
「預かったぬいぐるみの、楽しい写真を撮ることを心がけた」ということでしたが、具体的にどのようなことを心がけているのですか?

はる

昔から、友達をモデルにして写真集ごっこをするのが好きだったので、構図はいろいろ考えて、ぬいぐるみが本当に旅をしているように見える写真を撮ることを心がけています。
正面だけではなく、横向きにしたり後ろを向かせてみたり。
私自身カフェ巡りが好きなので、カフェでの写真を撮ることも多いですね。
協会のホームページでは、いつもストーリーをつけて紹介して下さるので、私も毎回楽しみにしています。

協会

みなさんの写真をじーっと見つめて、聞こえてくるお話を考えています。その時間はとても楽しいですね。

◆最初のぬいぐるみの旅から、もうかなりの数ホストファミリーを経験なさったと思いますが、印象に残った回はありますか?

はる

印象に残っているのは、スダチくん&ロナウドくんのコンビですね!
もう何度も一緒に旅をしてますし、ホームステイも来てくれているので、年に一度遊びに来てくれる孫といった感覚です。
『おーまた来たね!いらっしゃい!』と話しかけています。


▲何回も標津町にホームステイしているスダチ君とロナウド君

◆若いおばあちゃまですね。(笑) もうすっかり家族の一員のようですね

「旅」「ボランティア」というキーワードに、「ぬいぐるみ」が加わったわけですが、ぬいぐるみに対して新しい印象や思いなどは生まれましたか? 実はロナウドくんも私の作品でして。ステキなオーナー様のもとで、たくさん旅に出ています。ホストファミリーをして、新たな発見があったそうですね。

はる

地元のことを再発見できました!
今までは、田舎だし、何もないし、写真映えしないし……思っていました。
でも色々な情報を集め、近場だけれど行ったことがない隠れた名所を知ることもできました。
牛とぬいぐるみたちの写真にしても、牛がいるのは私にとっては子どもの頃から当たり前の光景ですが、それを楽しみにしてくれる方がいらっしゃり、新鮮な驚きでした。

◆観光客を迎える地元の人々の、新たな視点にヒントになりそうなお話ですね。地元の人にとってはいつもの光景が、観光客にとっては非日常の楽しい風景であるという気づきは、なかなか得られないことですからね。今後、ホストファミリーとして「こうしてみたい」という旅の企画はありますか?

はる

今年の秋から、標津町にある実家の農家を継ぐことになったので、今までのように旅行に連れて行くことはなかなかできなくなりそうです。
なので、標津町や、道東の魅力を改めて自分なりに発掘してみたいと思っています。そして、47都道府県に協会のホストファミリーができることを願っています!

◆ホントですね!そうなると楽しいですね!ありがとうございました。


▲協会で大人気!牛さんに会える北海道標津町ホームステイ


▲はるさんが今までに撮影された各地の写真


インタビューアー・北山メル

あみぐるみ、ぬいぐるみ作家。オーガニック素材などにこだわりを持ち製作。オリジナル作品ミランコビッチ君に旅をさせ「ぬいぐるみの旅」を楽しんでいる。
コミュニティカレッジ「下北沢大学」のポスター、フラッグ、DMのあみぐるみをデザイン・製作が採用される。
またライター業も手がけている。
NPO法人日本ぬいぐるみ協会アーティスト会員 日本あみぐるみ協会会員
http://kiyurakobo.net